アート・インスチチュート北九州(AIK:Art Institute Kitakyushu)は、福岡県北九州市を拠点として活動するアートNPO(特定非営利活動法人)です。AIKは、展覧会やコンサート、イベントの企画運営やキュレーション活動、インターネットやビデオなどのメディアプロジェクト、そして研究や教育活動を通じて、アートと社会とのあり方を考え、新しい関係を提案するために2006年に設立されました。
□ローカルとグローバルの交錯点
AIKは、地域に根ざし、地域と密着した「ローカル」な活動を目指しています。北九州市のアーティスト、アートに関わる人びと、そしてこれまでアートにあまり関心をもたなかった人びとと一緒に、アートを考え、アートを作り、アートを楽しんで行きたいと考えています。そのために北九州発のアートを作るとともに北九州の人も楽しむことができるような場を形成することはAIKの設立の最大の目的です。
けれども、このことはAIKの活動を「ローカル」に限ることを意味しているわけではありません。昨今のグローバリゼーションと呼ばれる大きな流れ、とりわけインターネットに代表されるデジタル通信技術と飛行機のような交通輸送技術の発展は、アートを取り巻く地図を大きく変えつつあります。
今では「ローカル」なものが、ごく簡単に「グローバル」なものと直接接続することができるようになってきています。かつては、「ローカル」なものは国家のセンター、具体的には東京のような首都を目指しました。海外に出て行くためには、センターを経由する必要があったのです。その結果、アートもまた国家ごとに編成されていました。けれども、こんにち「ローカル」なものは、インターネットや人やモノの自由な流れを通じて世界中の「ローカル」なものと直接通じることができます。中心と周縁、グローバルなものとローカルなものといった関係性が決定的に変化してしまったのです。
AIKは、このローカルとグローバルの交錯点に自らを位置づけ、北九州市のアートシーンとヨーロッパやアメリカ、アジアやラテンアメリカなどの都市のシーンと直接ネットワークを構築することで、情報の発信と収集の新しいあり方を模索します。
□新しいアートのプラットフォーム
これまでアートの舞台は、主として美術館やギャラリーのような閉じた空間でした。AIKの活動のある部分は、もちろん既存の美術館やギャラリーで展開されますが、それ以上にAIKが関心を持っているのは、美術館やギャラリーに収まらないようなアートの活動です。
もちろん、現代美術の歴史をひもとけばコンセプチュアルアートやランドアート、パブリックアートのように、美術館やギャラリーの制度の限界を批判し、その外部に場所を求めた運動が存在しました。しかし、こうした活動も皮肉なことに再び美術館やギャラリーに取り込まれることで美術史の中で文脈化されたのです。結果的には相互依存関係にあったといってもいいでしょう。
しかし、近年美術館やギャラリーは全く新しい局面を迎えています。新自由主義的な政治経済の動向の下で、多くの美術館はその運営方法について根本的な見直しを迫られています。国公立の美術館の独立行政法人化や指定管理者制度の導入などはその典型的な例ですが、ここで示されているのは、国や自治体のような公的セクターと文化・芸術の関係が決定的に変化し、それを取り結んでいた美術館という既存のハコ主導型の制度が古びつつあるということです。
AIKは、この美術館の危機を危機であると同時に好機であると考えます。この変化は、美術館の中に閉じこもりがちだったアートの新しいあり方を考えるとともに、美術館の使い方を再考する契機ともなるからです。AIKは、ポスト美術館時代のアートの形式やキュレーションの手法、そしてアートの楽しみ方を提案します。
□来るべき「アート」
AIKは、アートの形式だけではなく、中身もまた決定的に変化しつつあることを考察しようとしています。AIKが言う「アート」とは通常「現代美術」と呼ばれる狭い領域だけを指しているのではありません。「現代美術」という響きは、なにやら難解で、一般の人にはわかりにくい印象を与えがちです。AIKが「アート」という時、それは広い意味で音楽やメディア表現、エンターテインメントや文化活動、そしてテクノロジーの創造的な実験を含めて捉えています。AIKが目指すのは、いわば来るべきアート、「アートの後のアート」の姿を積極的に創りだしていこうということなのです。
□北九州国際ビエンナーレ
実際の北九州市という都市の特性を最大限生かしつつ、インターネット上のサイバースペースと組み合わせた、ローカルでありながらグローバルな、リアルでありながらヴァーチャルな「ビエンナーレ」です。2009年で2回目となります。
□旧百三十銀行ギャラリー
AIKでは、北九州市より委託を受けて八幡駅前の旧百三十銀行ギャラリーの企画管理運営を行いました。旧百三十銀行ギャラリーは、辰野金吾設計の日本の代表的なモダンデザインの百三十銀行のビルをそのまま保存、活用したギャラリーです。
定期的に地元のアーティストの企画展を開催するほか、市民の作品の発表の場としても活用しました。
□アートオンライン ARTONLINE.JP
アートオンラインは、インターネットを用いたオンライン・ミュージアムの試みです。サイバースペースの中にあるこのプロジェクトには、すでに7カ国、10組のアーティストが参加しています。このプロジェクトは、展覧会の新しいキュレーションのシステムとプラットフォームの提案です。現在はオンラインのみの企画ですが、将来的にはこのキュレーションワークを基本のプラットフォームとしながら、世界中の都市で実際の展覧会を同時多発的に展開して行く予定です。
□メディアアート&音源アーカイヴ
アートオンラインに関連して、現在AIKでは、世界の作家たちのメディアアート、テクノアート、ネットアートのアーカイブを作成中です。また、オリジナル音源や音楽作品の音ダウンロードサービスも現在準備中です。
□教育活動・研究活動
AIKでは、アートをめぐるシンポジウムやワークショップ等の教育プログラムを行います。また、AIKで行っているさまざまな活動を軸とした、アートの現状やアートと社会や行政、地域との関わり、美術館やギャラリーの変容、グローバリゼーションとメディアなどに関する研究活動を行います。こうした成果は、AIKの出版企画として定期的に発表される予定です。
北九州国際ビエンナーレのフライヤーが完成いたしました。
KITAKYUSHU BIENNIAL 2011 | pdf
2011.10.1〜11.27に『北九州国際ビエンナーレ2011』が開催されます。まもなく詳細をアップいたします。しばらくお待ちください。